■呼吸の鍵は横隔膜 (管理人の実践体験より)
ヨガや気功では呼吸を大事にしています。当たり前の話ですが、呼吸とは肺に空気を吸い込み、吐き出す働きです。
これを可能にしているのは理科の授業で習った気圧の差です。
肺(胸郭)が広がり中の気圧が低くなると、そこに外気圧と同じにしようと空気が入り込みます。逆に肺(胸郭)が小さくなり気圧が高くなると外の気圧と同じにするため空気が押し出されます。
この胸郭を大きくしたり小さくしたりするのは胸郭を下から動かしている横隔膜と肋骨を上げ下げする肋間筋です。ですから呼吸では横隔膜と肋間筋の働きがとても重要になってきます。
以下、代表的な腹式呼吸と逆腹式呼吸をみていきます。
〇腹式呼吸
腹式呼吸では、息を吸うときに横隔膜を押し下げ胸郭を下に広げ、肺の気圧を下げることで外気を取り入れます。横隔膜を下げるため腹圧が高まり、腹が膨らみお腹で息をしているようにみえます。息を吐くときには横隔膜を戻し、肺圧を高めることで旧い空気を吐き出します。この横隔膜の上下運動で内臓がマッサージされ、腹圧の変化も起こり、血液の循環も良くなり身体全体が活性化します。また副交感神経優位となり、免疫力も高まるなど数多くの健康効果を生み出します。
とても優れた呼吸法ですが、同時に肋間筋を動かすことは難しく、胸郭はあまり広がりません。手を脇腹に副えて呼吸すると肋骨の動きが少ないのに気づきます。ヨガや気功をする際、腹式呼吸で息を吸うときに腕を上にあげたり、前に伸ばしたりするのはこの肋間筋を動かしやすくし、より多くの空気を吸い込むための動作とも言えます。
〇逆腹式呼吸
逆腹式呼吸は、息を吸うときにお腹を凹ませ横隔膜を上にあげる呼吸法です。片岡鶴太郎さんがやっていた呼吸法がこれです。
右肺と左肺の間を横隔膜が押し上げ肺を横に広げる感覚です。肋間筋も動かしやすくなり、肋骨も引き上がり胸郭も広がります。すると肺圧が下がり、外気が取り込まれます。逆に息を吐くときには横隔膜を緩め、肋骨を下げ、胸郭を狭めて肺圧を高くし、旧い空気を吐き出します。
逆腹式呼吸では下から圧力をかけながら息を吸い込むので、肺が上下から押され、ゴムボールのように押しつぶされながら広がるという感覚になります。普通の呼吸では肺の30%しか使われていないと言われますが、普段使われていない肺の奥の肺胞まで膨らませ、空気を送ることができるので、肺の働きが良くなることを実感できると思います。長い階段でも苦にならなくなります(*^_^*) 呼吸器系の疾患を持つ方には特にお勧めです。
また、息を吐くとき横隔膜を緩めた後、さらに押し下げ、腹圧を高めてお腹を膨らませていく方法もあります。気功では良く行われています。これだと通常の腹式呼吸の効果も得られて一挙両得ですね。
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腹式呼吸でも逆腹式呼吸でも横隔膜を意識することで効果がアップします。また、継続することで横隔膜筋や肋間筋も鍛えられ、普段の呼吸でも深い呼吸が自然と得られるようになります。
呼吸が浅くなる傾向の中高年の方は是非、チャレンジして下さい。また、雨など低気圧になると体調が悪くなったり、頭痛がする方は外気圧と肺圧の差が少なくなるため普通の呼吸では酸欠状態になっている危険性もあり、空気を多く取り入れられる腹式呼吸はお勧めです。
呼吸とともに丹田や膻中(胸のツボ)などを意識することで効果もさらに高まります(次回以降に説明)
※ヨガクラスの後に呼吸法も行っています。お気軽にお越しください。